雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
まず手始めに、服装の問題に取り掛かることにした。
いつどこで何があるかわからない。常日頃から気をつけなければならなかったのだと反省する。
じゃあ、
一体どういうところで選べばいいのか――。
市役所という職場に行っても浮かずに、それでいて質のいいもの。
それから、創介さんと一緒にどこかへと出かけて行くときに着るもの。
創介さんの会社関係の方とのお付き合いの場に着て行くもの……。
結婚する時に少しは揃えたけれど、それだけはやはり足りない。
頭の中であれこれと考えていても埒があかない中、ある人の顔を思い出した。藁をもすがる気持ちで、店に駆け込んでいた。
そこは、以前、創介さんに連れて来てもらった木村さんのお姉さんのお店だ。
一度しか面識はないけれど、私にとっては唯一のセレブの世界の知り合いと言える人だった。
「あら、創介君の」
青山にあるセレクトショップに顔を出すと、笑顔で華織さんが現れた。
「すみません、突然来てしまって」
私は勢いよく頭を下げる。
「ううん。来てくれて嬉しいよ。今日は、どうしたの?」
「これから、どこで誰に会っても恥ずかしくないような服を揃えたいんです。フォーマルはまだ分かりやすいんですけど、日常のお付き合いにはどいうものを着た方がいいのか、華織さんに教えていただけたらと……」
正直にそう伝えた。
酷く悲壮感に満ちた顔をしていたのだろう。華織さんが優しく微笑んでくれた。
「なるほどね。そんなことならお安い御用よ」
「ありがとうございます」
その言葉にホッとする。
それからは、とにかく必死に華織さんの話に耳を傾けた。