雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「……雪野、俺を、あまり驚かせるな」
まだ激しい呼吸で上下する創介さんの胸が、私の素肌に触れる。
「ごめんね。どうしても創介さんが欲しかったの……」
欲しくて欲しくて。
そして、欲しいと思ってもらいたかった。
「……バカ。ごめんじゃねーよ」
「ごめん」
何故だか寂しくなって、甘えるように創介さんの胸に頬を強く押しつけた。
「俺も、おまえと一緒にいるようになって人の気持ちが分かるようになって来たんだぞ? 特に、雪野の心の動きはな」
創介さんの大きな手のひらが私の背中を優しくさする。
「――だから、俺も、おまえに謝っておく」
「どうして、創介さんが謝るの……?」
背中に触れていた創介さんの手が、突然私を強く抱きしめた。
「雪野の感情に便乗して、自分の欲望を優先させた」
「どうして、そんなこと言うの? 深い意味なんてない。私が、勝手にしたくてしただけで――」
腕の中で声を上げた。そんな私を、創介さんはただ優しく抱きしめるだけだ。
「俺は、他の誰でもない、雪野がいい」
もしかして、今日のニュースのことで、何か感づいてる――?
そう感じて咄嗟に答えた。
「知ってます。いつも、創介さんがそう言ってくれるから」
こんな愚かな不安、創介さんに知られたくない。
「何度だって伝えるさ。雪野が、少しでも不安に感じたらいつだって」
創介さんがどれほど私を愛してくれているか、十分過ぎる程に分かっている。
愛されれば愛されるほど、
その気持ちに応えたいと、
その愛情に見合う女になりたいと強く思うのだ。
創介さんが出張で家を留守にしてすぐのことだ。
郵便受けに、私宛の白い封筒が入っていた。差出人には、"栗林香代"と書かれている。丸菱グループ本社、栗林専務の奥様の名前だ。
神原さんが教えてくれていた、本社幹部の奥様方の会合。その招待状だった。