雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
やっぱり、心は自分が思っていた以上に疲弊していたみたいだ。ここ連日の出来事が、否が応でも暗い影を落としている。
さっきは、ユリさんにああ言ったけど――。
夕方も過ぎて、すっかり暗くなった部屋は、酷くがらんとしていた。
ダイニングテーブルの椅子を引き、崩れ落ちるように腰を落とした。
疲れたな……。
肘をテーブルに突き、手のひらに額を載せる。いろんなことが頭を駆け巡り、心がすり減って行く感覚に襲われる。
創介さんの社内での置かれた立場、この結婚で創介さんがどんな風に周囲から見られているのか、自分という存在が、どれだけ創介さんの足かせになっているのか――。
どれも重い事実。
そして、もう一つ。
ほんの些細なこと。
ずっと昔の過去のこと。
今頃になって、こんなことで苦しみたくなんかないのに。
ユリさん――この日久しぶりに目の当たりにした彼女は、やっぱり綺麗で。
白い肌も、艶やかな髪も。細くて傷一つない指も、ぷっくりと潤んだ唇も――。
創介さんは、全部、知っている。彼女を、あの逞しい腕で胸で抱いたのだ。
バカみたい――。
ずっと昔のことで、私だって最初から知っていたことだ。それなのに、どうして今日はこんなにも苦しいんだろう。
既に疲れ切っていた心は、過敏になってしまっているのかもしれない。
この広々とした部屋で一人でいると、苦しくて寂しくなる。
創介さんに会いたい――。
弱音を吐いてしまったら、どこまでも落ちて行ってしまいそうで。
心の中で、懸命にその言葉を掻き消す。