雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
すぐに帰って来られる距離でも状況でもない。
心配をかけるようなことを言ったところで、創介さんをただやきもきとさせるだけだ。
そう思うと、結局、何も言えなくなる。
(広い方がいいと思ってその部屋にしたけど、一人の時は寂しくさせるな。もう少し狭いところに引っ越すか?)
「えっ? そんなことしなくても大丈夫です! そんな理由で引っ越すなんてありえない!」
創介さんの本気なのか冗談なのか分からない発言に、誰もいない部屋で慌てて手を振った。
(いきなり大きな声を出すな。冗談に決まってるだろ)
「なんだ……」
本気で焦っていた私に、創介さんが笑う。
(ホントに、おまえの反応はいちいち可愛いな)
からかうようにそんなことを言われれば、私はもう口を噤むしかない。
(あんまり可愛いから、早く会いたくてたまらなくなる)
冗談交じりだった創介さんの声が、熱を帯び始める。
それに気付いたのか、スマホの向こうから大きく息を吐くのが伝わってきた。
(一緒に暮らし始めて、近くにいるのが当たり前になったからかな。以前より、会えない時間が我慢できなくなってる気がする)
何かを答えなければと思うけれど、声にすれば感情が溢れ出してしまいそうでただ耐えるようにスマホを握りしめた。
(あと二週間、耐えられるかな)
「――大丈夫ですよ。仕事が大変であっという間です。それで、仕事はどうですか?」
何かおかしなことを言ってしまう前に、振り切るように話題を変えた。