悪役令嬢はクールな魔道師に弟子入り致します
夜空の約束
夜になると、昔の事を思い出す。家族や家に残してきたもの。友人のこと。
何故かわからないが、アツシのことはほとんど思い出さなくなっていた。
今日は昼間もとても良い天気だった。きっと夜空が綺麗に見えるだろうと思って、寝る前に屋根裏部屋へ昇ってきた。ここは最初私が寝起きしていた場所だ。
数日経って、下の使っていない部屋を綺麗に掃除してくれて私はそちらへ移った。だから、今でも泊まろうと思えば寝床はある。敷き藁で作った簡易なベッドだけど、そこに寝ると天井窓が目の前で星空を見ながら眠れるのだ。
最初は月明かりが結構まぶしくて驚いた。だって、こんなに月の明かりがまぶしいなんて知らなかったのだ。
今日も横になって屋根裏の天窓を全部開けて、そこから輝く月ときらめく星々を見ていた。ここに来てから月がこんなに綺麗だって初めて気づいた。周りに余計な光がないから澄んで見えるのだと最近ようやく気づいた。
この月はあちらと繋がっているんだろうか?両親や兄弟もこれを見ている?みんな元気かな……。身体を起こして月に向かって両手を上げた。こうするとあちらに気持ちが通じるかもしれないと思って、目をつむった。
すると、ふわっと身体を包むマント。急に温かくなった。
「またここにいたのか?もう夜は寒い。風邪を引くぞ、こんなに窓を全開にして……」
横を向くとセシルがいた。相変わらずの黒装束だが、マントがない。私に自分のマントを掛けてくれたのだ。
「大丈夫よ。ここでしばらく寝ていたから慣れてるの。マントを私に掛けたらセシルが寒いわ」
「リリー。もしかして、帰りたいのか?」
心配そうな顔。そうか、私の心がわかるのね。
「ねえ、セシル。あなたのことだから、もしかして少しはあちらへ帰る方法がわかったんじゃないの?」
「……え?」
彼は驚いたようで、眼を見開いて固まった。やっぱり……。最近セシルの嘘が見抜けるようになってきた。彼が私に素の自分を見せてくれるようになったせいだ。
「いいの。だとしても帰らないから。私の気持ちはよくわかってるくせに……」
ふわりと私の身体を包む彼の腕。薬草の香りがする。
何故かわからないが、アツシのことはほとんど思い出さなくなっていた。
今日は昼間もとても良い天気だった。きっと夜空が綺麗に見えるだろうと思って、寝る前に屋根裏部屋へ昇ってきた。ここは最初私が寝起きしていた場所だ。
数日経って、下の使っていない部屋を綺麗に掃除してくれて私はそちらへ移った。だから、今でも泊まろうと思えば寝床はある。敷き藁で作った簡易なベッドだけど、そこに寝ると天井窓が目の前で星空を見ながら眠れるのだ。
最初は月明かりが結構まぶしくて驚いた。だって、こんなに月の明かりがまぶしいなんて知らなかったのだ。
今日も横になって屋根裏の天窓を全部開けて、そこから輝く月ときらめく星々を見ていた。ここに来てから月がこんなに綺麗だって初めて気づいた。周りに余計な光がないから澄んで見えるのだと最近ようやく気づいた。
この月はあちらと繋がっているんだろうか?両親や兄弟もこれを見ている?みんな元気かな……。身体を起こして月に向かって両手を上げた。こうするとあちらに気持ちが通じるかもしれないと思って、目をつむった。
すると、ふわっと身体を包むマント。急に温かくなった。
「またここにいたのか?もう夜は寒い。風邪を引くぞ、こんなに窓を全開にして……」
横を向くとセシルがいた。相変わらずの黒装束だが、マントがない。私に自分のマントを掛けてくれたのだ。
「大丈夫よ。ここでしばらく寝ていたから慣れてるの。マントを私に掛けたらセシルが寒いわ」
「リリー。もしかして、帰りたいのか?」
心配そうな顔。そうか、私の心がわかるのね。
「ねえ、セシル。あなたのことだから、もしかして少しはあちらへ帰る方法がわかったんじゃないの?」
「……え?」
彼は驚いたようで、眼を見開いて固まった。やっぱり……。最近セシルの嘘が見抜けるようになってきた。彼が私に素の自分を見せてくれるようになったせいだ。
「いいの。だとしても帰らないから。私の気持ちはよくわかってるくせに……」
ふわりと私の身体を包む彼の腕。薬草の香りがする。