悪役令嬢はクールな魔道師に弟子入り致します

魔道師の弟子

 日の光がほとんど差さない石造りの家の中へ一瞬にして移動した。

 「すごい!すごいわ!」

 飛び跳ねてぴょんぴょんしてしまう。
 セシルはフードをあげて顔を見せた。

 彼の顔を見て驚いた。見たことなかったもの。
 長い黒髪を革紐でひとつに束ねている。すごい美男子。
 
 オスカーのほうが甘い顔立ち。
 セシルは冷たい美男子って感じかな。
 
 さすが二次元。イケメンが多くていいわね。
 
 このゲームはオスカールートとセシルルートがある。
 
 パートⅠはどちらかというとオスカールートの恋模様。
 パートⅡが魔道戦争編なのでセシルルートだ。
 
 セシルには恋人が出来そうで出来ない。じれじれなのだ。
 これがやっているほうには中々引きずられる要素なのだが……。
 
 「お前は何しに来た?」

 冷たい微笑みでこちらをじっと見ている。

 「庇ってやったんだぞ。礼くらい言えよ」

 偉そうに、何なのよ。
 でも、彼を味方にしないと現代に帰れないかもしれないから、ここは褒めておくか。

 「ありがとうございます。さすがセシル様。一瞬にしてワープとかすごい!」

 「は?ワープってなんだ?」

 「え?場所移動するのってワープとか言わないんだっけ?」

 「転移のことか?」

 「ああ、転移って言うのね?なるほど、なるほど……」
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