転生アラサー腐女子はモブですから!?

妹【ダニエル視点】

 妹の七歳の誕生日。
 
 ソワソワと落ち着かない両親とは違い、澄ました顔で座るアイシャを見つめ、ダニエルは大きなため息をつく。

 今日の誕生日パーティーは、アイシャの披露目の会でもあるが、隣に座る彼女は、特に緊張に顔を強張らせることも、不安で泣き出すこともない。先程から、落ち着き払って紅茶を飲む姿は七歳の少女には見えない。

 昔から隣に座る少女は変わっていた。

 ヨチヨチ歩きの一歳くらいの時にはすでに、ほとんど泣くこともなく、気づくと一人で遊んでいる手のかからない娘だったらしい。

 親から離れ一人で行動しだしたアイシャと関わりだしたのは、ダニエルが六歳になった頃だった。

 言葉を話せるようになると同時に、絵本など簡単な本は一人で読めるようになっていたアイシャを頻繁に書庫で見かけるようになったのも、あの頃からだ。

 初めて辞書片手に本を読むアイシャの姿を見たダニエルは、あまりの衝撃に一晩熱を出した。それほどの衝撃をダニエルに与えたアイシャだったが、その後ダニエルと関わることはなかった。

 当時六歳だったダニエルは、王太子殿下の遊び相手として日々王城に行き、他の王太子側近候補の子息と勉学に励んでいた。そのため、アイシャと遊ぶ暇などなかったのだ。

 その側近候補の中に、ウェスト侯爵家のリアムがいた。
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