転生アラサー腐女子はモブですから!?
(目の前にいるキラキラしい者達は、いったい何なのよぉ〜)
花々が咲き誇る庭園の一画に配置された四阿。四隅の支柱には蔓が巻きつき、色とりどりの花が咲き乱れる。まるで花で造った柱が建っているかのような光景に、感嘆の声がもれた。
そして、その真ん中で歓談する金、黒、赤の華たち。
(――――はぁ、眼福だぁ♡(現実逃避中))
「クレアはアイシャ嬢と仲良くなったみたいだね。初めてのお友達かな? 多くの者達と交友関係を深めて行く事は、とても大切なことだよ」
「えぇ、お兄さま。わたくしアイシャには感謝しておりますの。愚かなわたくしの目を覚まさせてくださいましたわ。アイシャとは末永く、姉妹のような関係を築いて行きたいと思いますのよ」
「ふふふ、そうだねぇ~。クレアとアイシャなら姉妹のような関係になれると思うよ。将来的にもね。アイシャもそう思わないかい?」
斜め前に座ったノア王太子が、アイシャへと意味深かな流し目を寄越す。それを、笑って誤魔化せば、今度は隣に座るダニエルがノア王太子へと食ってかかる。
「ノア王太子殿下、アイシャはリンベル伯爵家の者です。まずは父に話を通して頂かないと!」
「ダニエル、クレアとアイシャの姉妹うんぬんは例え話じゃないか。目くじらを立てるものではないよ」
笑みを浮かべ、兄へと苦言を呈するノア王太子と、その言葉に眉を顰めるダニエルという構図に、アイシャの精神力はゴリゴリと削られていく。それに、追い討ちをかけるように、右斜め前に座ったリアムが、人の悪い笑みを浮かべる。
「くくっ、ははは……、王太子殿下も人が悪い。ダニエルも揶揄われているぞ」
目の前で繰り広げられる金、黒、赤+クレア王女の際どい会話に現実逃避もしたくなる。
(誰かぁぁ、私を助けてぇぇ)
そんなアイシャの叫びはもちろん、周りで静かに待機している使用人の皆さまには伝わらない。
(あぁ、白目むいてぶっ倒れたーい!)
「ところで、リアムは最近、騎士団の練習に参加しているようだけど、何か心境の変化でもあったのかな?」
「別に心境の変化などないですよ。王太子殿下の側近の一人として剣の腕も磨いておく必要があると考えただけです。それにキースも最近入団しましたからね」
「キースというと、ナイトレイ侯爵家のキースか? 確か、ナイトレイ侯爵家は武の最高峰だったな。まぁ、そこの子息であれば騎士団に入団するのは順当か。侯爵も国軍大将だしね」
「そうですね」
「しかし、対極にある知の最高峰、ウェスト侯爵子息のリアムがナイトレイ侯爵家の子息と仲が良かったとは、意外だね。大将と宰相は仲が悪かったと思うけど?」
「アイツとは幼なじみなんですよ。ただそれだけです」
「――――そう、今はそういう事にしておこうか」
目の前で進む会話に参加する事を早々に放棄したアイシャは違う世界へと飛んでいた。
(騎士団……、いい響き♡)
男同士の熱い友情。
汗飛び散る肉弾戦に、見つめ合い剣をぶつけ合う接近戦。そんな中、力を認め合い育まれる友情が、愛情へと変わっていく。
――――君を失ってしまう。どうか、行かないでくれ!
国のために戦い、命を散らす事こそ騎士の本願。止めないでくれ………
どうしても行くと言うなら、俺を切り捨てて行くがいい。
二人の目と目が絡み合い、剣を握り構える恋人達。
強くぶつかり合った剣と剣が弾き飛び、互いに抱き合う二人。
許してくれ!
別れを覚悟した二人の唇が重なり――――
(うっひょぉ~♡ ヨダレ出そう! 騎士団、いいわ。良い……)
別れが分かっているからこそ燃え上がる愛。死が二人を別つとき、やっと男同士という枷が、二人を解放する。
(悲恋、なんて悲恋なの。でも、そこがいいのよ。悲恋物からしか得られない『萌え』ってあるのよねぇ)
脳内で展開される欲望のまま、アイシャは隣に座るクレア王女の手を取り叫んでいた。
「クレア様! 騎士団、見学させてくださいませぇぇぇぇ!!!!」
アイシャの叫び声に、その場が一瞬にして凍りついたのは言うまでもない。
花々が咲き誇る庭園の一画に配置された四阿。四隅の支柱には蔓が巻きつき、色とりどりの花が咲き乱れる。まるで花で造った柱が建っているかのような光景に、感嘆の声がもれた。
そして、その真ん中で歓談する金、黒、赤の華たち。
(――――はぁ、眼福だぁ♡(現実逃避中))
「クレアはアイシャ嬢と仲良くなったみたいだね。初めてのお友達かな? 多くの者達と交友関係を深めて行く事は、とても大切なことだよ」
「えぇ、お兄さま。わたくしアイシャには感謝しておりますの。愚かなわたくしの目を覚まさせてくださいましたわ。アイシャとは末永く、姉妹のような関係を築いて行きたいと思いますのよ」
「ふふふ、そうだねぇ~。クレアとアイシャなら姉妹のような関係になれると思うよ。将来的にもね。アイシャもそう思わないかい?」
斜め前に座ったノア王太子が、アイシャへと意味深かな流し目を寄越す。それを、笑って誤魔化せば、今度は隣に座るダニエルがノア王太子へと食ってかかる。
「ノア王太子殿下、アイシャはリンベル伯爵家の者です。まずは父に話を通して頂かないと!」
「ダニエル、クレアとアイシャの姉妹うんぬんは例え話じゃないか。目くじらを立てるものではないよ」
笑みを浮かべ、兄へと苦言を呈するノア王太子と、その言葉に眉を顰めるダニエルという構図に、アイシャの精神力はゴリゴリと削られていく。それに、追い討ちをかけるように、右斜め前に座ったリアムが、人の悪い笑みを浮かべる。
「くくっ、ははは……、王太子殿下も人が悪い。ダニエルも揶揄われているぞ」
目の前で繰り広げられる金、黒、赤+クレア王女の際どい会話に現実逃避もしたくなる。
(誰かぁぁ、私を助けてぇぇ)
そんなアイシャの叫びはもちろん、周りで静かに待機している使用人の皆さまには伝わらない。
(あぁ、白目むいてぶっ倒れたーい!)
「ところで、リアムは最近、騎士団の練習に参加しているようだけど、何か心境の変化でもあったのかな?」
「別に心境の変化などないですよ。王太子殿下の側近の一人として剣の腕も磨いておく必要があると考えただけです。それにキースも最近入団しましたからね」
「キースというと、ナイトレイ侯爵家のキースか? 確か、ナイトレイ侯爵家は武の最高峰だったな。まぁ、そこの子息であれば騎士団に入団するのは順当か。侯爵も国軍大将だしね」
「そうですね」
「しかし、対極にある知の最高峰、ウェスト侯爵子息のリアムがナイトレイ侯爵家の子息と仲が良かったとは、意外だね。大将と宰相は仲が悪かったと思うけど?」
「アイツとは幼なじみなんですよ。ただそれだけです」
「――――そう、今はそういう事にしておこうか」
目の前で進む会話に参加する事を早々に放棄したアイシャは違う世界へと飛んでいた。
(騎士団……、いい響き♡)
男同士の熱い友情。
汗飛び散る肉弾戦に、見つめ合い剣をぶつけ合う接近戦。そんな中、力を認め合い育まれる友情が、愛情へと変わっていく。
――――君を失ってしまう。どうか、行かないでくれ!
国のために戦い、命を散らす事こそ騎士の本願。止めないでくれ………
どうしても行くと言うなら、俺を切り捨てて行くがいい。
二人の目と目が絡み合い、剣を握り構える恋人達。
強くぶつかり合った剣と剣が弾き飛び、互いに抱き合う二人。
許してくれ!
別れを覚悟した二人の唇が重なり――――
(うっひょぉ~♡ ヨダレ出そう! 騎士団、いいわ。良い……)
別れが分かっているからこそ燃え上がる愛。死が二人を別つとき、やっと男同士という枷が、二人を解放する。
(悲恋、なんて悲恋なの。でも、そこがいいのよ。悲恋物からしか得られない『萌え』ってあるのよねぇ)
脳内で展開される欲望のまま、アイシャは隣に座るクレア王女の手を取り叫んでいた。
「クレア様! 騎士団、見学させてくださいませぇぇぇぇ!!!!」
アイシャの叫び声に、その場が一瞬にして凍りついたのは言うまでもない。