転生アラサー腐女子はモブですから!?
「アイシャ! ここよぉ~」
王城の一番裏手にある、だだっ広い広場の端に設えられたお茶の席、小さな丸テーブルにイスが二脚。そこに腰掛けたクレア王女が手を振っている。数名の侍女が紅茶を入れたり、日傘を差し掛けたりしているが……、アイシャは違和感に足を止めた。
(――――あれ? 今日は騎士団の見学をさせてもらえるはずだったんじゃ?)
遠くの方に建つ小屋の前に、数名の人影が小さく見えるが、だだっ広い広場を見回しても騎士団らしき格好をした者達は見当たらない。
「クレア様、今日は騎士団の見学をさせて下さるのではなかったのですか?」
「今、騎士団は遠征練習に行っていて居ないのよ。それに幼い令嬢に荒々しくて、むさ苦しい男達の練習風景を見せるのはちょっと……って、言われてしまったの」
(がぁぁぁぁん!!!!)
あまりのショックにその場に膝を着きそうになる。
(私は、私は……、荒々しくてむさ苦しい男達の練習風景を観たいのよぉぉぉぉ)
今にもエグエグと泣き出しそうな絶望を宿したアイシャの表情に、クレア王女の顔が引きつる。
「ア、アイシャ、代わりと言っては何だけど、子供達の練習なら見学させてくれるみたいよ。ほらっ! あそこ。出て来たわ!」
(子供達の練習風景!?)
クレア王女の言葉に、ガバッと振り返ったアイシャは広場をガン見する。
(――――うわっ! ちっさ!!)
遠くの方で剣らしき物を振り、練習を開始した子供達が見えるが、距離があり過ぎて顔すら判別出来ない。
「クレア様、もっと近くで見学をしてはダメでしょうか?」
「じゃ、邪魔をしなければ近くで観てもいいのではないかしら、ね」
アイシャの圧に気圧されたクレア王女が、若干引きながらも近くへ行く許可を出す。
駆け出したい気持ちを抑え、ゆっくりとゆっくりと少年たちへと近づいて行くアイシャは、数十メートル離れたところで立ち止まった。
(急に近づいて、逃げられても困るしね)
その場でジッと動かず、見学を開始したアイシャの存在に気づいた者達の困惑顔にさらされるが、無視だ。
目の前に広がるパラダイスと、脳内で繰り広げられる妄想の前には、全てが些末なことだ。イケメン揃いとはいかないが、前に立つ教官の指示の元、一糸乱れぬ動きで剣を振る動きは芸術的ですらある。
飛び散る汗、荒くなる息遣い、真剣な眼差し(妄想)
(はぁぁぁ、たまらん♡)
これが肉体美あふれる成人男性でないのが悔やまれる。アイシャはヨダレを垂らす勢いで少年達をガン見しながら、あらぬ企みを考えていた。
(どうしたら遠征練習に行っている騎士団本丸の練習風景を覗けるのだろうか? 幼い男児で、これだけ興奮するのだ。なんとしてでも、騎士団本丸を見てみたい! さて、どうしたものか?)
「――――これ、だわ!!」
しばらく見学をしながら、考えを練っていたアイシャに天啓が降りてきた。そして、その案を実行するため、練習が休憩に入ったところで教官に近づき尋ねる。
王城の一番裏手にある、だだっ広い広場の端に設えられたお茶の席、小さな丸テーブルにイスが二脚。そこに腰掛けたクレア王女が手を振っている。数名の侍女が紅茶を入れたり、日傘を差し掛けたりしているが……、アイシャは違和感に足を止めた。
(――――あれ? 今日は騎士団の見学をさせてもらえるはずだったんじゃ?)
遠くの方に建つ小屋の前に、数名の人影が小さく見えるが、だだっ広い広場を見回しても騎士団らしき格好をした者達は見当たらない。
「クレア様、今日は騎士団の見学をさせて下さるのではなかったのですか?」
「今、騎士団は遠征練習に行っていて居ないのよ。それに幼い令嬢に荒々しくて、むさ苦しい男達の練習風景を見せるのはちょっと……って、言われてしまったの」
(がぁぁぁぁん!!!!)
あまりのショックにその場に膝を着きそうになる。
(私は、私は……、荒々しくてむさ苦しい男達の練習風景を観たいのよぉぉぉぉ)
今にもエグエグと泣き出しそうな絶望を宿したアイシャの表情に、クレア王女の顔が引きつる。
「ア、アイシャ、代わりと言っては何だけど、子供達の練習なら見学させてくれるみたいよ。ほらっ! あそこ。出て来たわ!」
(子供達の練習風景!?)
クレア王女の言葉に、ガバッと振り返ったアイシャは広場をガン見する。
(――――うわっ! ちっさ!!)
遠くの方で剣らしき物を振り、練習を開始した子供達が見えるが、距離があり過ぎて顔すら判別出来ない。
「クレア様、もっと近くで見学をしてはダメでしょうか?」
「じゃ、邪魔をしなければ近くで観てもいいのではないかしら、ね」
アイシャの圧に気圧されたクレア王女が、若干引きながらも近くへ行く許可を出す。
駆け出したい気持ちを抑え、ゆっくりとゆっくりと少年たちへと近づいて行くアイシャは、数十メートル離れたところで立ち止まった。
(急に近づいて、逃げられても困るしね)
その場でジッと動かず、見学を開始したアイシャの存在に気づいた者達の困惑顔にさらされるが、無視だ。
目の前に広がるパラダイスと、脳内で繰り広げられる妄想の前には、全てが些末なことだ。イケメン揃いとはいかないが、前に立つ教官の指示の元、一糸乱れぬ動きで剣を振る動きは芸術的ですらある。
飛び散る汗、荒くなる息遣い、真剣な眼差し(妄想)
(はぁぁぁ、たまらん♡)
これが肉体美あふれる成人男性でないのが悔やまれる。アイシャはヨダレを垂らす勢いで少年達をガン見しながら、あらぬ企みを考えていた。
(どうしたら遠征練習に行っている騎士団本丸の練習風景を覗けるのだろうか? 幼い男児で、これだけ興奮するのだ。なんとしてでも、騎士団本丸を見てみたい! さて、どうしたものか?)
「――――これ、だわ!!」
しばらく見学をしながら、考えを練っていたアイシャに天啓が降りてきた。そして、その案を実行するため、練習が休憩に入ったところで教官に近づき尋ねる。