【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「私によく聞きに来たもの。私くらいの年の令嬢が欲しいものは何かって」
「……いったい誰のために」
「……私なら銀の竜のうろこを使った品が欲しい、と伝えた覚えがあるわ」
チラリと見た足下には、控えめでありながら、銀色に輝く靴がある。
ドレスの裾には、銀の竜のうろこを使ったビーズの刺繍。
そして脳裏によぎるのは、小さな子どものための、それでいて宝物のような銀の靴。
「え?」
「……気が付いてなかったのね」
「え、でも」
「確かに、はじめは庇護欲で、可愛いと思うだけだった少女はいつしか大人になり……」
楽しそうだ。そんなはずないと思っているのに、心臓がギュウギュウと締め付けられて苦しい。
「……そんなはず」
「あら、ずいぶん時間が経ってしまったわ。お暇するわね」
立ち上がったレイレア様を当たり前のようにエスコートするのは、正装姿のバルト卿だ。
当然のようにその手を取ってエスコートを受けるレイレア様は、あまりに美しい。
きっと、隣国との戦いが激化しなければ、今頃その笑顔は隣国にあるのだろう。
今も、レイレア様には、婚約者がいない。
でも、隣国との和平が、バルト卿によって叶えられた今……。
「……それもそうだけど、バルト卿がここにいるということは」
気がつけば、私はテラスに一人取り残されていた。