【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「おやすみなさいませ! ジェラルド様」
「……ああ、おやすみ。ステラ」
慌てて食堂から出て行く私の背中を見送るジェラルド様。
彼は、そっと首元からネックレスのようにかけていたチェーンを外し、「そういえば、今夜も渡しそびれてしまったな……」と呟いた。
そこには、美しいエメラルドがあしらわれた可愛らしい意匠の鍵が一つ揺れている。
「だが、どちらにしても、まだ今は、ステラと寝るわけにいくまい……」
その言葉とともに、現れた赤と青の光。ジェラルド様の視線は、私といるときとは違いどこか冷たくて鋭い。
「――――なあ、さっさと私に御されてくれないか? お前たち」
『ヒヒン!!』
『ガルウ……』
返事をしたような二体の精霊は、挑戦的なようにも見えるし、申し訳なさそうにも見える。
赤い光のリーリルは、過去を映し出し、青い光のルルードは、未来を視せる。
二つの精霊から加護を受けた人など、王国中探しても、もちろん歴史を調べても、未だかつていない。
誰もが、精霊から加護を受けることができるわけではないのは、精霊に愛されるか否か、もちろんそれもある。高位の精霊は、対象者に多くの加護を与え、体も、魔力回路も、全てを作り替えてしまう。