a Piece of Cake.
テーブルがわたしの発言により、しんとなる。
奈緒さんがわたしの背中をぽんぽんと叩いてくれて、湊ちゃんが「いやでも」と仕切り直してくれる。
「別れないうちに彼女作るのは浮気だから。最低だよね」
「確かに。うん、確かに」
木谷さんが取り繕うように頷いていた。
それの全てに居たたまれなくなって、お手洗いに立ち上がった。
……良くない。本当に、良くない。
『依理須は結局、俺のこと信用してないんだろ』
トイレの個室の中で、そんな言葉が反芻する。
もう別れた、男の言葉だ。