a Piece of Cake.
「でね、今度そのホテルでパーティーするんだけど」
「へえ」
近くで聞こえた声に顔を上げる。
「聡現も来ない?」
「行かねえ。つか、くっつくな」
聡現。
この前もその名前を聞いた。
顔を盗み見れば、泣きぼくろに端正な顔。
彼だった。
隣にはこの前とは違う女性を携えている。
ちょうど厨房の方から出てきたホールスタッフが、わたしとその二人の間に入った。
「なんでよー、ノリ悪ーい」
女性が彼の腕を引っ張ろうとして立ち止まったところに、ホールスタッフが立ち止まり切れずにぶつかった。
全て、スローモーションに見えた。