a Piece of Cake.

丁度良い理由が出来て良かった、と内心安堵しているところで、視線を感じた。

彼がこちらを見ている。

「あ、ありがとうございました。腕とか服の応急処置」
「いえ、どこかでお会いしたことありますか」

直球。
わたしはミッドを構えてすらいなかった。

「え、あ、えっと」

しどろもどろに返答を考える。

「ケーキ、」

彼が言いかけ、わたしは球を見つけて返した。

「はい、ケーキ買ったことあります! 美味しかったです!」

斜め上の主張をしてしまった。
彼がきょとんとする。

先に言われてストーカーだと思われるよりはずっと良い。

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