a Piece of Cake.
「何のケーキが好きなんですか」
「チーズケーキ、ロールケーキ、ティラミス、ショートケーキ」
「なるほど」
「あとタルト。この前はいちご食べたんですけど、ブルーベリーのが美味しくて」
「全部俺が担当してるリスト」
「え」
それもそうだろう、と冷静な自分が頷く。
あの夜、彼が持ってきたケーキだ。
彼が作ったと言っていた。
わたしは空には見えない星を探す。
「辛いことがあってぐじぐじ泣いてたんですけど、ケーキを食べたら辛いのがちょっと軽くなったんです」
星が見えない夜もきっとある。