a Piece of Cake.
へら、と笑って流すと、彼は何も言わずにそれへ書き込む。
「どうぞ」
それを渡される。名刺には店名と、彼の名前が記されていた。
三輪聡現というらしい。
「三輪さん」
「そう呼ぶとキョーダイで振り向くので」
「じゃあ聡現……くん」
「依理須さんっていくつ?」
「え、なんで」
「同い年かと思って」
「28ですけど」
絶対同い年では無いと思う。彼は固まり、決意したように頷いた。
「俺も四捨五入したら30なんで」
何を自信満々に言ってるのか。
私は名刺を鞄にしまって、掌を彼に向けた。