a Piece of Cake.
誰でも良かった。聞いてくれて、相槌を打ってくれるなら。
「それはそれは」
「付き合う前に言ったのに、重いよって。それでも良いって言ってくれたのに。結局は駄目なら、最初から良いなんて言って欲しくなかった」
「まあ、そうですね」
「それでも、振り返ったら楽しかった思い出ばっかりで。なんで私じゃ駄目だったんだろうって、思う……」
ブルーベリーの甘酸っぱさが口に広がる。
ショートケーキのクリームの滑らかさ。
ロールケーキのスポンジの優しさ。
ティラミスのビスケットに滲みた苦さ。
グチグチと恨み辛みを吐き出し、ケーキを平らげて、わたしは手を併せた。