a Piece of Cake.

焼菓子のコーナーからマドレーヌを持ってくる。一緒に会計をしてもらった。

「彼氏に?」
「彼氏では……ないので……まだ……」
「まだって言ってる」

ふ、と噴き出すように聡現くんが笑う。

「聡現、オーブンの点検……あ、いらっしゃいませ」

もう一人、後ろから出てきた男性。

「言ってた兄です、三輪辰己」

聡現くんが紹介してくれる。言ってた? と辰己さんが首を傾げた。

「で、こちらがイタリアンバルでアヒージョを被った須藤依理須さん」
「どんな紹介の仕方なんだ。え、無事でした?」
「はい、聡現くんに介抱されまして」
「この女嫌いが……?」

辰己さんが更に怪訝な顔を聡現くんに向ける。

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