夢見る夢子は、元アイドルに運命を感じてしまいました!
「あ、あそこです。
あのビルが区役所ですよ。」

「そうなんだ。」

たっくんは、一瞬、立ち止まってビルを見上げた。
やっぱり、ホームレスってことを引け目に感じているのかな?
あんまり行きたくなさそう。
でも、ここまで来たら、帰れないよね。
それに、住民票を移さないと。
たっくんは、覚悟を決めたのか、俯いてはいたけれど、躊躇うことなく区役所の中に入った。



「だいぶ混んでるな。」

「役所はいつもこんな感じですよ。あ、住民票はあそこですね。行きましょう。」

私達は、住民票の窓口に向かい、番号札を取った。



「この紙に必要事項を書いて下さい。」

「俺、こういうの苦手なんだ。」

「大丈夫ですよ。」

別に書き方がわからないわけではなくて、『嫌い』だっていう意味の『苦手』なんだな、きっと。



「大丈夫かな?やっぱり、ホームレスのこと、訊かれるかな?」

「訊かれたら本当のことを答えれば良いだけですよ。」



やっぱり、ホームレスのことを気にしてるんだね。
でも、現実は現実。
仕方ないよね。



区役所、久しぶりに来たな。
意外と用事がないんだよね。



(あ……)



この次は、たっくんとの婚姻届を出しに来たりして。きゃー。
やっぱり、婚姻届は二人で来なきゃね。
係の人に「おめでとうございます。」なんて言われるのかな?
照れくさいなぁ。

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