1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません
「こちらは旦那さまからの贈り物でございます」
そう言われて見せられたのは、シックなブルーのドレスだった。
生地に宝石が散りばめられて、まるで夜空の星屑のように見える。
かなり高価で美しいドレスだとは思ったが、アリアはすぐさま疑問を口にした。
「旦那さまから? どういうこと?」
「はい。本日のパーティにぜひこれを着ていってほしいとのことです」
「ふうん」
まあ、おそらく侯爵夫人として恥ずかしくないようにというフィリクスの思惑だろう。
深い意味などない。
「わかったわ。ありがたく着させていただくわ」
そして、パーティの身支度が整った頃のことだ。
「アリア、部屋に入ってもいいかい?」
突然の夫のお出ましに、驚いたのはアリアではなく侍女のユリアと使用人たちだった。