1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

「旦那さまが奥さまの晴れ姿を見にいらしたのでは?」
 とわくわくするような顔で話すユリアに、アリアはため息まじりに答える。


「そんなことないでしょ……何かご用ですか? 旦那さま」
「君の晴れ姿が見たいんだ」

 ユリアの予想どおりのセリフを言い放ったフィリクスに、使用人たちが歓喜の表情でざわついた。
 アリアは呆れ顔をする。


「パーティの時間までまだ少しありますでしょう? どうせ、あとで披露しますから、今でなくてもよろしいのではないかと」
「すぐに君の姿が見たいんだ」
「はっ!?」

 まるで愛しい妻の美しく着飾った姿を早く見たいと願ってやまない夫、みたいなセリフを言い放つフィリクスに、アリアは驚きのあまり変な声で反応した。
 仕方がないので披露することになった。


「アリア、なんて綺麗だ。やはりそのドレスが君に似合うと思ったんだ」
「はあ……」

 アリアはどう反応すればいいかわからず、微妙な返事をした。


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