1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

「今夜の君はさぞかし映えるだろうね」
「そうでしょうか。ありがとうございます」

 アリアは真顔でさらりと返す。
 そこに何の感情もない。
 しかし、フィリクスは満面の笑顔だ。


「君を連れてパーティに行けるのが楽しみだ」
「はあ、そうですか」

 淡々と返事をしていたアリアは、ふと思う。

 そうか、これは演技だ。
 フィリクスは仲睦まじい姿をみんなの前で披露して、自分たちは何の問題もない、むしろラブラブな夫婦であることを見せつける作戦なのだろう。

 それなら、アリアも演技しなければならないだろう。


「嬉しいですわ。旦那さま!」
 とアリアはわざとらしく笑顔で歓喜の声を上げた。

 侍女のユリアと使用人たちは驚き、そして笑顔になった。
 そして、フィリクスがアリアに駆け寄る。


「アリア、今日は緊張するだろうが、僕がついているから安心するといい」
「え? あ、はい……」

 周囲からきゃあっと歓喜の声がわく。
 だが、アリアは微妙な反応をした。


 え、演技だ。演技。
 フィリクスは本当に演技が上手い。
 ここはアリアも負けじと妻を演じることにした。


「旦那さまが一緒なら心強いですわ」

 笑顔が引きつりそう。



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