幼馴染みとの契約交際が溺愛必須に変更されました。
「するなら今のうちでないと、とは思ってる。本音を言えばちょっと面倒だけど──お金かかるし」
婚活パーティに参加しても結婚相談所に登録しても、すぐに気の合いそうな相手が見つかるとは限らない。さらに、結婚して良いと思える相手ともなれば、何回、擬似的なお見合いを繰り返さなければいけないだろうか。
けれど今の職場では出会いはないし(会計士の男性二人は既婚者で事務は全員女性だ)、男性を紹介してもらえるような知人友人の当てもない。自分からアクションを起こさないとどうにもならない状況なのだ。
だったらさ、と倫之が実に気軽に聞こえる口調で言ったのは。
「俺と付き合えば?」
「────はい?」
数秒、頭が空白になるような提案だった。
同窓会会場のホテル入口前で、立ち止まって深呼吸した。
「めっちゃ緊張してんな」
隣の倫之が、気軽な口調で言ってくる。この提案をしてきた時と同じような。
「緊張するわよ。当たり前でしょ──あんたは気楽そうね」
「昔の同級生と先生に会うだけだろ。なに緊張すんだよ」