幼馴染みとの契約交際が溺愛必須に変更されました。

 その顔には見覚えがある。クラスは違ったけど、校内の顔のいい男子は残らずチェックしていたと噂高かった人──確か、泉谷(いずたに)さん。
 「泉谷さん、こんばんは」
 「は? あんた誰?」
 「…………え、もしかして柴崎さん? 三組の」
 不審顔で首をひねった泉谷さんに代わり、横にいた別の女性(たぶん一年の時に同級生だった廣井(ひろい)さん)が、私をじっと見て疑わしそうに呼びかけた。
 「うん、そう」
 短く答えると、周囲の全員に「えっ」という表情で注目される。
 「うっそ、柴崎? あの、地味だった原田の幼なじみ?」
 男性のひとり(最初に倫之に話しかけてきた人)が目を丸くして言ったことは、その場の人たちの共通認識だったと思う。高校時代の私は本当に地味だったから。
 行きたい大学があったから、そこを目指して勉強漬けの毎日。年齢らしいオシャレはしなかったし友達も多くはなかった。けれど「原田倫之の幼なじみ」という事実で、なぜだか必要以上に名前と顔は知られていたのだ。
 「地味は余計だけど、そうだよ。柴崎由梨」
< 17 / 48 >

この作品をシェア

pagetop