幼馴染みとの契約交際が溺愛必須に変更されました。
その顔には見覚えがある。クラスは違ったけど、校内の顔のいい男子は残らずチェックしていたと噂高かった人──確か、泉谷さん。
「泉谷さん、こんばんは」
「は? あんた誰?」
「…………え、もしかして柴崎さん? 三組の」
不審顔で首をひねった泉谷さんに代わり、横にいた別の女性(たぶん一年の時に同級生だった廣井さん)が、私をじっと見て疑わしそうに呼びかけた。
「うん、そう」
短く答えると、周囲の全員に「えっ」という表情で注目される。
「うっそ、柴崎? あの、地味だった原田の幼なじみ?」
男性のひとり(最初に倫之に話しかけてきた人)が目を丸くして言ったことは、その場の人たちの共通認識だったと思う。高校時代の私は本当に地味だったから。
行きたい大学があったから、そこを目指して勉強漬けの毎日。年齢らしいオシャレはしなかったし友達も多くはなかった。けれど「原田倫之の幼なじみ」という事実で、なぜだか必要以上に名前と顔は知られていたのだ。
「地味は余計だけど、そうだよ。柴崎由梨」