幼馴染みとの契約交際が溺愛必須に変更されました。
そこから歩いて十分ほどの距離にあるこの店もチェックして、予約した。私がイタリアン好きなことを折り込み済みで。
「ごめん、ちょっと考え事してた。何?」
「さっき観た展示の話だよ。影絵って子供向けのしか見たことなかったけど、あんなすごい作品にもなるんだな」
「あ、そうでしょ? 影絵の細かさもすごいけど、色使いも独特で印象的だったでしょ」
「わかる。色数は多くないけど光を通したら鮮やかだったよな」
打てば響くように返ってくる会話は、間違いなく楽しい。そういえば子供の頃から、倫之は空気を読むのが得意で、そういう意味では頭の回転が速かった。だからこそ、地道な努力が成績アップにも結びついたのだろう。
──どうして今、こんなふうに過ごしているんだろう。
まるで普通のカップルみたいに。
そんな思いが、ちらちらと頭をよぎる。
同窓会で見せるため限定の、お芝居だったはず。
なのに、練習と慣れのために何度かしていたデートは、今でも続いていて。