「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 夫のシリルは、こうして常に私のことを最優先にしてくれる。だから、彼の悩みの種である聖女ベアトリス様とのことを、私と結婚することでなんとかすることが出来て本当に良かった。

 ちなみに聖女ベアトリス様は、私とシリルには絶対に近づくな連絡を取るなと厳命されているらしく、それを破れば神殿に住む彼女は当分の間外出禁止となってしまうらしい。

 可愛らしい罰のようにも思えるけど、神殿が嫌で早く出たいと思っている彼女にはこの罰は効くだろうと言うのはルーンさん談。

 それに、ヴィオレ伯爵が聖女ベアトリス様の横暴(おうぼう)をごり押ししようにも、私のお父様であるノワール伯爵が絶対に許さないだろうとのこと。

 私のお父様のノワール伯爵。実家では完全に昼行灯だから、何も知らなかったんだけど……政治では切れ者で有名で、聖女の生家だからと無理強いしてくるヴィオレ伯爵に真っ向から立ち向かっていて、それぞれに仲間が居て……という、激しい派閥争いになっているみたい。

 だから、シリルは私が結婚相手でないと逃げきれなかったのは、確かなことなのかも。

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