「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 私だって異性にこんなことを聞くのは恥ずかしいけど、この彼しか私とシリルの結婚の事情を知らないので、これはもう仕方ない。ジャスティナに話す訳には、いかないのだもの。

「えっと……そうです。昨日夜会で、シリルにキスされたんですけど……」

「……うん。そりゃ、するんじゃない? あんたたち、夫婦なんだし。人前ですんのは、気分を害する人も多いし、気をつけた方が良いと思うけど……まあ、新婚だから許されるのかね。けど、夜会に行けるとか、良く足腰立ったね。昨日から、フィオナはここに住み出したんだろ?」

「……? 夜会には、行けます。あの……言葉が足りませんでした。その時にシリルに夫婦なんだから、いずれキスをするって言われたんですけど……」

「いや、それはそうじゃないの? キスくらい何度もしてるだろ。夫婦なんだし」

 あ。ルーンさんが何を言いたいのかわからないと言っている意味がわかった。彼は私たちが同じベッドで夜を過ごしたと、そう思っているんだ。

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