「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 急拵えの結婚相手を慌てて用意しなければならなかったのも、別に彼のせいでもない。

 ルーンさんはベアトリス様を増長させたのはシリルだと言っていたけど、魔王討伐時には、どうしても聖女の聖魔力を借りねばならなかった。だから、シリルが彼女のご機嫌を取っていたという流れは理解出来る。

 けど、シリルは結婚した私と本当の意味で夫婦になろうとはしなかった。

 夫として紳士的に優しくはしてくれるけど、キスはベアトリス様に強制されたきりだし、まだ私たちは互いの部屋のベッドで夜は眠っている。

 血を繋ぐことが主な目的な貴族間の結婚だと肉体関係のない白い結婚であれば、婚姻関係を無効に出来る。

 互いに白い結婚を主張すれば私はシリルと結婚していた婚姻歴さえも、なかったことにしてしまえるのだ。

 ジャスティナから聞いたエミリオ様の話は、私にとってとても衝撃的な話だった。

 私は憧れていたエミリオ様は他の男性たちと同じように、ジャスティナのことを気に入っていると思っていた。

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