冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 勢いよく厩舎から走り出した馬に、騎士団員たちは驚き道を開けたが、そこへ両手を広げて立ち塞がったのがロージーだ。彼女は泣き笑いの顔で叫んだ。

「団長止まりなさいよっ! セシリーッ! 皆ずっと、ずっと待ってたんだからーっ!」

 しかしリュアンは彼女を傷つけないように馬を高く跳躍させ、降り立つと大きく後ろへ手を振る。

「悪いなロージー! 皆も、しばらく不在だけどよろしく頼む! 婚前旅行だ!」
「任せとけ!」「ずりーぞ団長!」「早く帰って来いよーっ!」

 わいわい騒ぐ皆の姿が懐かしくて、嬉しくて……セシリーはリュアンの身体にしがみ付きながら必死に思いを声に乗せた。

「ただいまロージーさん、皆! ごめんなさい、この人、待ちきれないみたいだからちょっと行ってきます!」
「「「お帰りセシリー!! 気を付けてね!」」」

 そんな声に背中を押され、風を切って馬を走らせながらふたりは大声で笑う。その後ろから彼らを追走してしてくる騎影があった。
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