冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「綺麗……。よかった、帰って来られて」
「ああ……。俺の一生で一番嬉しい日だ」
セシリーは彼の横顔を少しだけ覗く。瑞々しい闇色の黒髪も、気品のある紫の瞳や透明感のある白い肌も、今や月に照らされ内から光を放つようで……先程あれだけ触れたのに、見れば見るほどその感触を感じていたくなってしまう。
「いいよ、触れても。もう俺はお前のものなんだから」
それを察してくれたかのように、彼はそっとセシリーの手を取ると、自分の頬に当てた。
涼しい風がさわさわと撫で、少し薄着だったセシリーがくしゃみをすると、彼は自分の上着を脱いでセシリーの肩に掛けようとしてくれる。しかしそこで思い出したように懐のポケットから取り出した何かを、こちらに差し出した。少し色あせているが、丁寧に包装されたふたつの小箱がそこにはある……細長いものと四角いもの。
「開けてくれるか?」
「ええと、それじゃ……こっちから」
「ああ……。俺の一生で一番嬉しい日だ」
セシリーは彼の横顔を少しだけ覗く。瑞々しい闇色の黒髪も、気品のある紫の瞳や透明感のある白い肌も、今や月に照らされ内から光を放つようで……先程あれだけ触れたのに、見れば見るほどその感触を感じていたくなってしまう。
「いいよ、触れても。もう俺はお前のものなんだから」
それを察してくれたかのように、彼はそっとセシリーの手を取ると、自分の頬に当てた。
涼しい風がさわさわと撫で、少し薄着だったセシリーがくしゃみをすると、彼は自分の上着を脱いでセシリーの肩に掛けようとしてくれる。しかしそこで思い出したように懐のポケットから取り出した何かを、こちらに差し出した。少し色あせているが、丁寧に包装されたふたつの小箱がそこにはある……細長いものと四角いもの。
「開けてくれるか?」
「ええと、それじゃ……こっちから」