□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

仮眠室なんて言っても、そこは仮眠するための部屋じゃなく、編集部の脇にある資料室のことだ。

背の高い棚が立ち並ぶ資料室のスペースに、折り畳みの簡易ベッドとどこかから持ってきたガラステーブルを押し込んで、かろうじて寝泊りが出来る様にしてあるだけ。

ここを使うのはすすきので酔っぱらって帰るのが面倒になった編集長か、深夜や早朝の撮影で忙しい時の片桐か、今日みたいに仕事に夢中になりすぎた私くらいないんだけど。

ちょっと寒いなぁ。なんて思いながら、ロッカーから私専用の毛布を取り出す。
エアコンの効きづらいスタジオに籠っていたせいか、手足の感覚が鈍く感じるほど冷え切っていた。

最近冷え性なんだよなぁ。
手足が冷えてるとどんなに疲れててもなかなか寝付けなくて嫌なんだけど、不規則な生活とデスクワークが多い編集なんてしてるから仕方ないか。

もうすっかり使いなれた仮眠室に入りベッドの上に毛布を広げていると、眠そうな顔をした片桐が仮眠室に入って来た。

「帰るの面倒だから俺も寝てく」と、当然のように言う。


< 105 / 396 >

この作品をシェア

pagetop