□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「あ、や、なんでもない。考え事してた」

慌ててそう言って、片づけの手伝いを始めようとしたけれど、もうほとんどやることはなかった。
片桐の手際の良さに驚く。

「これから帰るなら、俺、車だから乗せて行くか?」

「ありがと、でもいいや。明日片づけたい仕事もけっこう残ってるし、仮眠室で寝てく」

「まだこの時期なのに、そんなに詰まってんのか?」

「……そうでもないんだけど」

編集部に泊まり込んでまで片づけなきゃいけない仕事はないんだけど、ふたりっきりで片桐に送ってもらうなんて、ちょっと気まずい。
車の中の密室状態に、耐えられる自信がないのが本音だ。

「ふーん」

私の返事に納得したのかしないのか、カメラを片づけながら小さく首を傾げた片桐に、背を向けて革のバッグを丁寧に梱包した。

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