□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

だからあんなタイミングで、私と岩本さんのいるお店に助けに来てくれたんだ……!
そんなに私の事を心配してくれたんだ。

「ところで気になってたんだけど、どうしてそんな首を隠すような服着てるの?」

葉月さんが手を伸ばし、ハイネックの首の部分を覗き込んだ。

「きゃー!いきなり何するんですか!見ないでくださいっ!!」

慌てて葉月さんの手を振り払ったけれどもう遅かったらしく、葉月さんがやっぱりという表情で眉をひそめた。

「……それ、岩本とかいうカメラマンにやられたの?」

「や!これは、違います!」

ハイネックの下には、いくつものキスマーク。
それを隠したくてこの服を選んだのに!

「じゃあ、片桐?」

そう聞かれて、勝手に顔が熱くなる。
真っ赤になった私を見て、葉月さんが声を出して笑いだした。

「ちょっと、なんで笑うんですか!」

「ごめん、ごめん。片桐って本当に分かりやすいなぁと思って」

肩を震わせながら葉月さんがそう言った。

「え!?片桐のどこが分かりやすいんですか?」

私には片桐の考えてることなんてまったく分からないのに。

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