□TRIFLE□編集者は恋をする□
ぬるくなったコーヒーを一口すすり、デスクの上のパソコンを立ち上げる。
よし、がんばろう。
そう思いながらきゅっと腕をまくって椅子に座り直す。
「平井さーん、ダンボールが届いてますけど、何かわかります?」
声をかけられ振り向くと、大きな段ボールを持った三浦くんが立っていた。
「三浦くん。それ、どこから届いたかわかる?」
ダンボールに張り付いている送り状を確認する。文房具やキッチン雑貨からインテリアまで扱う大手雑貨店からだった。
「あぁ、これコラムで紹介する予定の文房具だわ。その辺に置いておいてくれる?」
「了解でーす」
私に背を向けて歩き出した三浦くんに、思い出して声をかける。
「あ、と。それから、三浦くん今週の土曜日は暇?」
「デートの誘いですか?」
「デートじゃなくて、吉乃のおばちゃんのお見舞いに……」
「残念。予定あるので無理でーす」
私の言葉を遮って、三浦くんはにっこりと笑う。
「平井さんが約束したんだから、ちゃんとお見舞い行ってきてくださいね」
自分ひとりじゃ不安だから、三浦くんに手伝ってもらおうと思ったのに。
仕方ない。今日の帰りにでも買い物に行ってくるか。
そう思ってため息をついた。