□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「あんたはもうちょっと信用してあげてもいいんじゃない?」

「信用って、片桐をですか?」

「ううん。そうじゃなくて自分の事を」

「自分を……?」

自分を信用するって、どういう意味だろう。
首を傾げると、葉月さんは真剣な表情で私を見た。

「あんたは自分で思っているよりずっといい女よ。だからもっと自分の魅力を信じて、自分らしく前を向いていなさい」

「…………自分らしく、前を向いて」

私が繰り返すと、葉月さんは椅子から立ち上がる。

すっと背筋を伸ばしたその後姿はとても綺麗で、思わず見惚れてしまった。

自分を信んじてか……。
自分がいい女だとは思えないけど、自分の魅力なんてわからないけど、それでも葉月さんの言葉はとても嬉しかった。

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