□TRIFLE□編集者は恋をする□
私が何かするたびに、悲鳴のような声をあげる美咲さん。
まだ髪の毛一本も切ってないのに、私は緊張と気疲れでぐったりだ。
「わかりました。そんなに文句を言うなら美咲さんが切ってください」
ため息をつきながら持っていたハサミを美咲さんに手渡すと、険しい顔で睨まれた。
「イヤよ。私ハサミを持てないんだってば」
「それ、嘘ですよね。美咲さん、ハサミ普通に持てますよね」
美咲さんにそう言うと、ぎょっとした顔でこちらを振り返った。
「なんでそんな事……」
「だって、この前編集部で撮影手伝ってもらった時、美咲さんなんの違和感もなくハサミを使ってたじゃないですか。こう見えても私、するどいんですからね」
私が指摘すると、美咲さんは言葉を探すように視線を泳がせた。
「なんて、嘘です。本当は三浦くんに聞いたんです」
「三浦って誰よ」
「うちのバイトの男の子ですよ。ウエディングの撮影の時も付いてきてた」
「茶髪の軽そうな子?」
「あの子、よくカットモデルをやってて、前に美咲さんと一緒に働いてた美容師さんと付き合ってたそうです」