□TRIFLE□編集者は恋をする□
「こんな感じでどうかな。目にかからない長さだから邪魔にはならないと思うけど」
「わ……」
差し出された鏡を受け取った女の子は、鏡を覗き込んで小さく息を飲んだ。
さっきまでの前髪をピンで留めおでこを出している姿も子供らしくて可愛かったけど、サイドを残して眉が隠れる長さで切りそろえた前髪は、今までよりもずっとあか抜けて洗練されたように見えた。
「かわいい……っ!」
鏡の前で横をむいたり俯いてみたりして前髪を確認した女の子は、喜びを隠せないように鏡をぎゅっと胸の中に抱きしめる。
その仕草は小さいながらも立派な乙女で、とても可愛らしかった。
「お姉さんありがとう!美容師さんってすごいね!」
そう言って無邪気に笑う女の子に、美咲さんは少し照れたように笑った。
「あら、まるで出張美容師さんだね」
さっき車いすに乗って去って行ったおばちゃんが、今度は松葉づえをつきながら帰ってきた。