□TRIFLE□編集者は恋をする□
「明日、クラスの男の子がお見舞いに来てくれるっていうから、少しでも可愛くなりたいのよね」
「ちょっと!お母さんっ!そんなんじゃないもんっ!」
背後にいる母親の言葉に、真っ赤になる女の子。
きっと、その男の子の事が好きなんだろうな。
初々しいその子が微笑ましくて、思わず笑顔になった。
「わかった。このお姉さんが可愛くしてくれるからまかせて」
どうしてもその子の恋に協力してあげたくてそう言うと、「なんであんたが勝手にオッケーしてんのよ」と睨まれた。
「ま、前髪くらいならいいけど。どのくらい切りたいとか、どんな風にしたいとかある?」
女の子の前髪を覗き込みながら美咲さんが尋ねる。
もじもじしながら今人気のあるアイドルの名前を上げた。
「じゃあ、サイドを残して目の上でそろえる感じでいいかな。少し横に流しやすいようにカットしてあげるから」
「はいっ!」
目を輝かせて返事をする女の子に、美咲さんの頬が緩んだ。
美容師の仕事は別に好きじゃないなんて、絶対嘘だ。
だって、女の子に負けないくらい美咲さんの顔だって輝いてる。