□TRIFLE□編集者は恋をする□
「こんなに職場で孤立して悩んでたのに、匠はいつも仕事で忙しくて、私の事なんてぜんぜん見てくれなかった」
「片桐は悩みを相談しても聞いてくれなかったんですか?」
「バッカみたい。匠にそんな悩みを話せるわけないじゃん」
「なんでですか」
「情けないじゃない。相手は寝る暇もないくらいあちこち飛び回って写真撮って雑誌作ってるのに、私は小さい美容室の中で先輩とうまく馴染めなくて悩んでるなんて、恥ずかしくて言えないじゃない」
「そんなの……」
「あんたみたいな仕事にやりがい持ってるバカにはわかんないわよ」
ぷい、と顔を背ける美咲さんに思わずため息をついた。
「そうやって片桐とすれ違ってうまく行かなくなってきたから、気を引きたくてヤキモチをやいてほしくて、お店のお客さんと浮気をしたんですか?」
「悪い?」
「それが職場にバレて美容師を辞めたんですか?」
「悪い?」
「美咲さんこそ、バッカみたいじゃないですか」
「……あんたにはわかんないわよ」
「確かに、私には美咲さんみたいに美人に生まれた苦労なんて分かんないですけど、美咲さんの悪い部分はわかりますよ」
きっぱりと言うと、美咲さんは顔を上げて私を睨んだ。