□TRIFLE□編集者は恋をする□
 
「え?」

「オーナーと話していただけで、すり寄ってるとか媚びてるとか陰口言われて。具合悪くて早退しただけで特別扱いされてるって文句言われて。男のお客さんが多ければ色目使って客集めてるとか、技術もないくせに顔だけで得してるとか……」

そんなことを言われていたなんて……。
美咲さんの言葉に私は驚いて黙り込む。

「ほら私って美人じゃない?学生の頃から女子たちにやっかまれて意地悪されるのに慣れてたから、大人になったら自分の技術で勝負できる仕事をしようと思ってたの。だから美容師の仕事を選んだのに、結局女ばかりの職場って学校と同じなのよね。どんなに技術を磨いても、お客さんに喜んでもらえるように努力しても、結局陰口を言われ続けるなんてバカらしくて嫌になっちゃった」

「……だから、お客さんに手を出してわざとクビになったんですか?」

「わざとじゃないわよ。どうせあんたみたいな仕事バカには理解できないと思うけど」

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