□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「あんたが営業担当じゃなかったら、あんなギリギリの印刷スケジュール押し付ける問題だらけの雑誌、とっくに印刷所から見放されてんだよ。あっちこっち頭下げて駆け回ってくれたおかげで、こうやって今のトライフルがある。トライフルは俺達だけで作ったんじゃなく、あんたが作った雑誌でもあんだよ」

「はは……っ」

編集長のキツイ口調に、中野さんが小さく笑った。
でも笑った次の瞬間、その目からはポロポロと涙がこぼれ落ちた。

「あ、ありがとうございます……」

「じゃあ、夢をかなえる一歩を踏み出した中野さんに、もう一度乾杯しましょうか」

泣きじゃくる中野さんに優しい笑顔を向けながら、葉月さんがジョッキを持ち上げみんなに視線を投げる。

「中野さんの夢に」

カンパーイ!と大きく声をあげて、またカチンとジョッキがぶつかった。


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