□TRIFLE□編集者は恋をする□
「あ、よかったら平井さんも行きます?合コン」
「やだよ。行かないよ」
「えー、なんでですかぁ?」
そんな言い合いをしていると、編集部の電話が鳴りだした。
一瞬だけフロアがしんと静まる。
編集者の勘というわけじゃないけど、なんとなく厄介な要件の電話は受話器を上げなくても分かってしまうもので、嫌な予感に思わずごくりと喉がなった。
すっと腕を伸ばして葉月さんが受話器を取り、パチンコ雑誌をながめていた編集長を振り返った。
「編集長、椎名さんです」
「おー」
広告営業の椎名さんか。
編集長当ての電話って、何の用件だろう。
校了を終わらせたばかりのこの時期は、一仕事終えてゆっくりできるのと同時に、一番緊張する時期でもある。
「……はぁ!?事故った!?」
編集長のドスのきいた声が響いた。
その大声に編集部に緊張が走る。
一瞬でみんなの顔色が変わった。
「え? 事故ったって、椎名さん営業回りしてる最中に交通事故でもおこしちゃったんですかね?」
私の隣にいたデガワだけが、のんびりとそう言って首を傾げた。