推し作家様、連載中につき。
しばらく呆然としていた水谷くんは、顔面蒼白状態のまま、私に折りたたんだ紙を返した。
そして、ガタッと席を立つと、ふらつくような足取りで先生のところまで歩いていき、
「保健室、いきます」
と告げた。
「水谷くん、具合が悪いのですか?」
「……まぁ、ちょっと」
「これはいけません。保健室まで一人でいけますか?」
「大丈夫です」
ガラガラと閉まった戸。
私は水谷くんに返してもらった紙をそうっと開いてみた。
「───…え」
それは、小説のキャラのプロフィールが書かれた、あの紙だった。
この間カフェで羽花ちゃんと勉強したときに、紙を見せてから、筆箱に入れたんだった。
それを私は危なっかしいことに、落としてしまったんだ。
「あれ?」
はた、と気がつく。
水谷くんは、どうしてこれを見てあんなに焦るんだろう。
これが名高先生と繋がりのある紙だってことを知っているファンの私なら大興奮だけど、だったら水谷くんはどうして……?
ぐるぐる、ぐるぐる。
また新たな謎が追加されて、名高先生の正体が遠ざかっていく。
「①と④の解答は同じですね。では、この計算と、こちらの計算の答えはどうなりますか? では……朝乃さん」
水谷くんの目の真剣さと言ったら、今までの比じゃなかった。
水谷くんは、私に何か隠していることがある?
『まあ……趣味、ってやつ』
そういえば、彼は少し前にこんなことを言っていた。
水谷くんの趣味って、なに?
そして、ガタッと席を立つと、ふらつくような足取りで先生のところまで歩いていき、
「保健室、いきます」
と告げた。
「水谷くん、具合が悪いのですか?」
「……まぁ、ちょっと」
「これはいけません。保健室まで一人でいけますか?」
「大丈夫です」
ガラガラと閉まった戸。
私は水谷くんに返してもらった紙をそうっと開いてみた。
「───…え」
それは、小説のキャラのプロフィールが書かれた、あの紙だった。
この間カフェで羽花ちゃんと勉強したときに、紙を見せてから、筆箱に入れたんだった。
それを私は危なっかしいことに、落としてしまったんだ。
「あれ?」
はた、と気がつく。
水谷くんは、どうしてこれを見てあんなに焦るんだろう。
これが名高先生と繋がりのある紙だってことを知っているファンの私なら大興奮だけど、だったら水谷くんはどうして……?
ぐるぐる、ぐるぐる。
また新たな謎が追加されて、名高先生の正体が遠ざかっていく。
「①と④の解答は同じですね。では、この計算と、こちらの計算の答えはどうなりますか? では……朝乃さん」
水谷くんの目の真剣さと言ったら、今までの比じゃなかった。
水谷くんは、私に何か隠していることがある?
『まあ……趣味、ってやつ』
そういえば、彼は少し前にこんなことを言っていた。
水谷くんの趣味って、なに?