エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

『あらま~、モテ期到来じゃん、亜椰』

 挨拶もそこそこに、瑛貴さんが静岡まで会いに来て、今度改めてふたりで会う約束をした件、そして麻人さんに告白された件を相談した。

 私としてはかなり困っているのだけれど、電話の向こうの涼帆は極めてのんきだ。

「他人ごとだと思って……こっちは真剣に悩んでるんだけど」

 完全に面白がっている友人にムッとして、庭の小石を蹴る。

『亜椰が知りたくないって言うからずっと黙ってたけど、紫藤社長、今でも独身だよ』
「えっ……」
『うちのダンナが言うには、別れた相手を引きずってるせいだって。さすがに詳しいことまでは男同士で話さないみたいだけど、私は亜椰のことだと思ってたよ。だから、彼が会いに来たって聞いても全然びっくりしない』
「そんな……まさか」

 半信半疑ながらも、胸が騒ぐ。

 だったらお見合いは断ったってこと? だとしても、その後で別の恋人ができて、別れた後もその人を想っているだけなんじゃないの……?

『そんなに認めたくないってことは、告白してきた麻人さんって人の方が気になってるとか?』
「ううん、それはない!」

 すかさず否定すると、電話の向こうが一瞬しんとなる。

 ……何か変なこと言った?

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