エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「時々父がフォローしてくれたからなんとか心を保っていたけど、父も仕事が忙しくて常に家にいるわけにはいかない。だから母とふたりきりになるとどうしても萎縮してしまって、普段はできることができなくなったりした。そんなある日、母が大切にしていたバッグに、お茶をこぼしてしまったんだ」
自分の母親の前で萎縮するほど、瑛貴さんにとって自宅は窮屈な場所だったようだ。
子どもなら誰だって、不注意でなにかをこぼしたり壊したりする失敗はあるが、彼のお母さんはどんな反応をしたのだろう。
「怒られると思ってとっさに身を硬くしたんだが、母はもうなにもかもあきらめたように深いため息をつくだけだった。そして、淡々と俺に片づけを命じた後で言ったんだ。『あんたなんて産まなければよかった』って」
瑛貴さんの目に、暗い悲しみの色が広がった。
大人になった今でさえ、その台詞が彼の心に暗い影を落としていることがわかる。
もしかして、彼が私に拒絶されたと感じた最大の理由は――。