エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

 旅行へ来て三日目は、朝からフィンランド名物の公衆サウナへ。水着を着用して楽しむサウナで汗をかいた後は、深い青色のバルト海に面したテラスで休憩した。

 潮風を浴びながらレモン入りの炭酸水でのどを潤していると、ゆったりと時間が流れるのを感じる。

 とても贅沢なひと時を過ごしているのを実感する反面、やっぱり誰かとこの感動を分かち合いたかったとも思う。

 とはいえ叔父や叔母は静岡だし、涼帆は仕事や恋人との予定があるし……また、偶然瑛貴さんが現れたりしないかな。

 ぼんやりと彼をの顔を思い浮かべた直後、ふるふると首を横に振る。

 勝手に孤独を紛らわせる相手として想像するなんて失礼だ。それに偶然を待たなくたって、彼とは今夜食事の約束をしている。

 どうして誘われたのかは、謎のままだけど……。

 今夜の約束を思うと鼓動が自然と速まり、動揺を落ち着かせるようにグラスの炭酸水に口をつける。しかし、カランと氷が鳴るばかりで、舌の上に落ちてきたのはほとんど味のない水が一滴。

「飲み終わってたんだった……」

 誰にも見られているはずがないのに、自分の間抜けな行動に居たたまれなくなった。

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