エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「そうだね。途中だったもんね。もう、ごちそうさまするまで遊ばないよ?」
「うん。おさら、からっぽする」
「えらいじゃん、胡桃。あさにぃも、今度は食べ終わってから誘うな」
胡桃の隣に腰を下ろした麻人さんは、口パクで私に〝ごめん〟と伝えてくる。
私は軽く首を振って、〝いいえ〟と口を動かし微笑んだ。
さっきはモヤモヤしてしまったが、麻人さんも話せばわかる人だ。胡桃への接し方で気になることがあれば、次から遠慮なくお願いしてみよう。
みんなが揃った食卓は胡桃を中心に再びにぎやかになり、あっという間に夜が更けていった。
翌日、おじさんとおばさんが収穫作業に出ていた昼下がり。ぬり絵をする胡桃のそばで取り込んだ洗濯物を畳んでいたら、玄関のインターホンが鳴った。
「はーい」
大き目の声で返事をして、立ち上がる。この家に訪ねてくる人はほとんど顔見知りなので、インターフォンのモニターを確認しないのはいつものことだ。
今日もそのまま玄関へ向かい、サンダルをつっかけて引き戸をガラッと開けた。
目に飛び込んできた三つ揃えのスーツに眉根を寄せながら顔を上げた直後、息が止まりそうなほどの衝撃が走る。