敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
顔をだしたのは先ほどのインターフォンの声の主とは違い、女性だった。それもかなりの美人だ。
緩やかにウエーブした栗色の髪をひとつにざっくりまとめ、くっきりした二重瞼に通った鼻筋の先には小ぶりな唇。似ている女優がいるが、名前がすぐに出てこない。
「雪菜ちゃん、突然悪いね」
「ううん、大丈夫。聖さんのお願いならそうそう断れないから」
雪菜と呼ばれた女性が首を横に振ると、耳につけているチェーンピアスが揺れた。
「それで、こちらが……」
「昨日話した彼女」
唐突に紹介され、急いで頭を下げて名乗る。未だにここを訪れた理由は不明のままだ。
「とにかく中に入って。準備はできてるの」
雪菜に誘われ、聖に続いて玄関に入る。八畳くらいある玄関フロアの真向かいにある格子の仕切りの向こうに開けたリビングが見通せた。
「中のほうにどうぞー」