敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

雪菜に案内されて奥に足を進める。モノトーンでまとめられたシックな部屋には大きな窓があり、エレベーターを降りたときの景色と同じく都会の街並みが豆粒のように見下ろせて爽快だ。

(さっきインターフォンに応答した男の人はどうしたんだろう)

七緒が広いリビングをぐるっと見回したときだった。ダイニングキッチンのほうから背の高い男が髪をかき上げながら現れる。


「やっと寝入ったのに雪菜に起こされて、その次は聖か。俺のマンションはフリースペースじゃないんだけど」


不機嫌そうな顔は応答したときの声のまま。目鼻立ちのはっきりとした顔は、聖とは優劣がつけがたいほど整っている。聖より柔和な感じだ。


「夜勤明けで俺の顔が見られてうれしいだろう」
「病院で飽きるほど見てるからうんざりする」


どうやら彼も加賀谷医療センターに勤めているらしい。
毒のある言葉だが、聖はノーダメージで笑っているからいつもそんな感じのやり取りをしているのだろう。雰囲気から仲の良さがうかがえる。


「で、そちらは?」
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