敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「じゃ、はじめてもいい? ここに座って。あ、聖さんはそこに着替えを用意してあるから、着替えて待っててね。七緒さんが完成するまで、ここは閉めまーす」
雪菜が壁にあるパネルを操作すると、リビングとダイニングの間を仕切るスライド式のドアが現れた。隙間から手を振る聖に七緒も振り返し、ぴったり閉じたのを確認して雪菜は黒く大きなコスメボックスをテーブルの上で広げた。
七緒の前に三面鏡を置き、肩からケープを掛ける。
「まずは髪のスタイリングからやっていくね」
「はい、よろしくお願いします」
バレッタひとつで簡単にまとめていた髪を下ろし、ヘアアイロンを使って雪菜の手が加えられていく。
「雪菜さんは、ここにお兄さんと一緒に住んでるんですか?」
「ううん、私はべつのマンションでひとり暮らし。昨日、聖さんから連絡をもらって、ここに集合しようってなったの」
雪菜によれば、お互いに知っている場所だから手っ取り早いためここに決まったらしい。一弥には今朝早く連絡を入れ、突然の来訪を告げたのだと。